テニスは「玉入れ」のスポーツである
テニスを始めたばかりの頃、私たちは無意識のうちに「前に向かって打つ」ことばかりを考えてしまいます。広いコートを目の前にして、ネットの向こうにいる相手に向かってボールを打ち込む。一見すると当たり前のように思えるこの感覚が、実は上達を妨げる大きな壁になっているのです。
では、どう考えればいいのでしょうか。答えは意外とシンプルです。テニスは「玉入れ」のスポーツだと捉え直してみてください。
「山なり」に打って、地面を狙う
玉入れを思い出してみてください。高い位置にある籠に向かって、ボールを放物線を描くように投げ入れますよね。テニスも本質的には同じなのです。
ボールを山なりの軌道で打ち、コートのどこに落とすかを考える。これがテニスの本質です。相手の体を狙うのではなく、相手コートの地面のどの位置にボールを着地させるかをイメージすることが何より大切なのです。
特にコートが広く、相手が奥のベースライン付近にいる場合、「前に向かって打つ」という意識が強くなりがちです。しかし、そうではなく「上に向かって打ち、狙った場所に落とす」という発想に切り替えることで、ミスが減り、コントロールが格段に向上します。
現代人が陥りやすい「スクリーン感覚」の罠
なぜ私たちは「前に打つ」ことばかり考えてしまうのでしょうか。その理由の一つに、現代の生活環境が関係しているかもしれません。
テレビ、映画、パソコン、スマートフォン。私たちは日常的に、目の前に垂直に立つスクリーンを見る機会が圧倒的に多くなっています。この「垂直のスクリーン」に慣れ親しんだ感覚が、無意識のうちにテニスにも持ち込まれてしまうのです。
ネットの向こう側を一枚の垂直なスクリーンのように捉え、そこに向かってボールを打ち込もうとする。しかし、テニスで本当に狙うべきなのは垂直面ではありません。あくまでも奥の地面、水平面なのです。
意識を変えるだけで変わるショット
この「玉入れ理論」を意識するだけで、あなたのショットは驚くほど変わります。
- ボールの軌道が安定し、ネットミスが減る
- 狙った場所にボールを落とせるようになる
- 相手を動かすショットが打てるようになる
- 力任せに打たなくても、効果的なボールが打てる
次にコートに立つときは、ぜひこの「玉入れ」の感覚を思い出してみてください。ボールを山なりに打ち、地面のどこに落とすかをイメージする。たったそれだけで、テニスがもっと楽しく、もっと上手くなるはずです。

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