テニスは「正しいフォーム」より「対応力」が大事な理由

テニス

オープンスキルとクローズドスキル、聞いたことありますか?

テニススクールに通っていると、コーチから「フォームをきれいに」「この形で打って」と指導されることが多いですよね。確かに基本のフォームは大切です。でも、実はテニスの本質はそこにはないのです。

今日は、スポーツを理解する上で重要な「オープンスキル」と「クローズドスキル」という考え方から、テニス上達の本当のカギを探っていきましょう。

クローズドスキルとは「決まった動き」

まず、クローズドスキルとは、決まった動きを正確に再現するスキルのことです。

わかりやすい例が武道の「型」です。空手の型、剣道の素振り、これらは毎回同じ動作を、できるだけ正確に、美しく行うことが求められます。ゴルフも同じです。止まっているボールに対して、理想的なスイングを再現する。環境が大きく変わらない中で、いかに完璧な動作を身につけるかが勝負の鍵となります。

クローズドスキルのスポーツでは、「正しいフォーム」の習得が非常に重要になります。何度も何度も同じ動作を反復練習して、体に染み込ませていくのです。

オープンスキルとは「自由に動くスキル」

一方、オープンスキルとは、状況に応じて自由に動きを変えていくスキルのことです。

サッカーを想像してみてください。相手の動き、ボールの位置、味方の位置、全てが刻々と変化する中で、瞬時に判断し、その場に最適な動きをする。決まった型なんてありません。必要なのは、変化に対応する力です。

そして、テニスはまさにオープンスキルのスポーツなのです。

テニスが「オープンスキル」である理由

テニスのプレー中、同じ状況は二度と訪れません。考えてみてください。

  • 相手のショットは毎回違う:スピード、回転、高さ、コース、全てが変化します
  • 風の影響を受ける:追い風なら伸びるし、向かい風なら失速します
  • 太陽の位置が変わる:サーブの時、まぶしくて見えないことも
  • サーフェスによって跳ね方が違う:ハードコート、クレーコート、芝では全く別のスポーツのよう
  • 相手のポジションが変わる:前にいるのか、後ろにいるのかで打ち方を変える必要がある

つまり、テニスでは常に変化する状況に対応し続ける能力が求められるのです。どんなに美しいフォームを身につけても、それだけでは試合に勝てません。

スクールで習う「フォーム」の本当の意味

「でも、スクールではフォームをしっかり教わるけど?」と思われるかもしれません。

もちろん、基本のフォームは大切です。それは否定しません。基本があってこその応用です。でも、フォームはあくまでスタート地点であり、ゴールではないのです。

本当に大事なのは、その基本フォームをベースにして、状況に応じて動きを調整できる対応力です。

  • 低いボールが来たらどう対応するか
  • 高く弾むボールにはどう合わせるか
  • 風が強い日はどう調整するか
  • 相手が前に詰めてきたらどう返すか

こうした変化への対応こそが、テニスの醍醐味であり、上達の本質なのです。

自由な発想が勝利への近道

オープンスキルのスポーツであるテニスでは、自由な発想が何より大切です。

「こう打たなければいけない」という固定観念を捨てて、「この状況では、こう打つのがベストかもしれない」と柔軟に考える。教科書通りのフォームにこだわるのではなく、目の前の状況に最適な打ち方を選択する。

プロのテニスプレイヤーを見てください。同じフォアハンドでも、状況によって打ち方が全く違います。それは、彼らが高い対応力と自由な発想を持っているからです。

練習で意識すべきこと

では、オープンスキルを磨くために、どんな練習を心がければいいのでしょうか。

  • 様々な球種を経験する:スピンボール、スライス、フラット、色々な球を打ってみる
  • 異なる状況で練習する:風の強い日も、太陽がまぶしい時も、あえて練習してみる
  • ラリーの中で考える:一球一球、「なぜこう打ったか」を意識する
  • 失敗を恐れない:新しい打ち方を試して、失敗から学ぶ

完璧なフォームを目指すのではなく、どんな状況でもボールを返せる対応力を身につける。それがテニス上達の本当の道なのです。

次回コートに立つときは、「正しく打つ」ことより「うまく対応する」ことを意識してみてください。テニスがもっと自由で、もっと楽しくなるはずです。

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