テニススクールに通うだけでは上達しない理由

テニス

「週1回スクールに通っているのに、上達しない…」

そんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。熱心にスクールに通い、コーチの言うことを聞いているのに、なかなか上達を実感できない。

実は、それには明確な理由があります。今日は、コーチの立場から、はっきりとお伝えしたいことがあります。

結論から言うと、テニススクールに通う「だけ」では上達しません。

厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは紛れもない事実です。そして、その理由を理解することが、あなたの上達への第一歩になります。

スクールの現実:時間は意外と少ない

まず、テニススクールの現実を見てみましょう。

多くのテニススクールは、1クラスの人数が多めです。6人、8人、場合によっては10人以上のグループレッスンも珍しくありません。

レッスン時間が90分だとして、計算してみましょう。

  • 生徒8人のクラス
  • ウォームアップ、説明、待ち時間などを除く実質練習時間:約60分
  • 一人あたりの実質練習時間:約7〜8分

もちろん、ラリー形式の練習では複数人が同時に打つので、もう少し時間は増えます。それでも、コーチと直接打ったり、個別のアドバイスをもらったりする時間は、驚くほど少ないのが現実です。

アドバイスをもらうだけでは上達しない

さらに重要なポイントがあります。

アドバイスをもらうだけでは、決して上達しません。

これは当たり前のことですが、意外と見落とされています。コーチから「もっと早く準備して」「体重移動を意識して」とアドバイスをもらっても、それを聞いただけで上手くなるわけではありません。

必要なのは、もらったアドバイスを理解し、直す努力です。そして、それには時間がかかります。体に染み込ませるには、反復練習が不可欠なのです。

スクール以外での練習が必要な理由

つまり、こういうことです。

スクールのレッスン以外で、反復練習する時間が必要なのです。

これは、学校の勉強と全く同じです。

  • 学校で授業を受ける → テニススクールでレッスンを受ける
  • 家で復習やドリルをする → スクール外で反復練習をする

授業を聞いただけで、テストで良い点が取れるでしょうか? 家で復習し、問題を解き、分からないところを理解して、初めて身につきますよね。

テニスも同じです。レッスンで学んだことを、スクール外で練習して、初めて自分のものになるのです。

「自立のスポーツ」という観点から

以前お話した「テニスは自立のスポーツ」という観点からも、これは重要です。

コーチからアドバイスを受ける。それは素晴らしいスタートです。でも、そこから先が大切なのです。

  • そのアドバイスを理解する:なぜそうする必要があるのか
  • 自分の課題を明確にする:自分は何ができていないのか
  • 何をすれば良いか考える:どんな練習が必要なのか
  • 実際に行動する:スクール外で練習する

この一連のプロセスを、自分で考え、自分で実行する。これこそが、テニスにおける「自立」であり、本当の上達への道なのです。

回数を増やせば上達する?

「じゃあ、週1回じゃなくて、週2回、週3回と増やせばいいんじゃない?」

確かに、スクールに通う回数を増やせば、条件は良くなります。実際、週に何度も通っている人の方が、上達が早い傾向はあります。

でも、ここで冷静に考えてみてください。

それは単純に練習量が増えて上達しているだけです。

週3回スクールに通うのと、週1回スクール+週2回自主練習。どちらが効果的でしょうか? コスト面を考えても、自主練習を取り入れる方が現実的ですよね。

スクール外でできる練習

「でも、スクール外で何をすればいいの?」

そう思われるかもしれません。相手がいない、コートが使えない。確かに制約はあります。でも、できることはたくさんあります。

1. 壁打ち練習

一人でもできる最高の練習です。レッスンで習ったことを、繰り返し練習できます。

2. 素振り

自宅でもできます。フォームの確認、筋肉の記憶。地味ですが、極めて効果的です。

3. イメージトレーニング

実際に打たなくても、頭の中でシミュレーションすることで、理解が深まります。

4. フィジカルトレーニング

体幹、下半身の強化。テニスに必要な体を作ることも、立派な練習です。

5. 友人との練習

スクール外で、同じレベルの友人と打ち合う。自由に試行錯誤できる貴重な時間です。

6. 動画で復習

プロの試合や上級者のプレーを見て、学ぶことも効果的な練習です。

上達する人の共通点

コーチとして多くの生徒を見てきましたが、上達が早い人には共通点があります。

それは、スクール以外でも自主的に練習していることです。

  • 壁打ちに通っている
  • 友人と定期的に打っている
  • 家で素振りをしている
  • テニスについて調べたり、考えたりしている

こうした人たちは、同じレッスンを受けていても、吸収力が違います。なぜなら、レッスンで学んだことを、自分の時間で消化し、体に染み込ませているからです。

スクールの価値を最大化する

誤解しないでいただきたいのは、スクールが無駄だと言っているわけではないということです。

スクールは素晴らしい学びの場です。

  • 正しい知識を得られる
  • 的確なアドバイスがもらえる
  • 練習相手がいる
  • モチベーションを維持できる

これらの価値は計り知れません。でも、その価値を最大化するためには、スクール外での努力が不可欠なのです。

スクールを「学びの場」として活用し、そこで学んだことを自分の時間で定着させる。この両輪があって、初めて本当の上達があるのです。

あなたはどちら?

最後に、自分に問いかけてみてください。

  • スクールに通っているから、上達するはず
  • スクールで学んだことを、自分で練習して身につけよう

前者は「受け身」、後者は「能動的」です。

テニスは自立のスポーツです。コーチはサポートできますが、上達するのはあなた自身です。スクールで学び、自分で練習し、試行錯誤する。この主体的な姿勢こそが、上達への最短ルートなのです。

まとめ

テニススクールに通うだけでは上達しない。これは事実です。

でも、絶望する必要はありません。むしろ、これを理解することで、本当に上達するための道筋が見えるのです。

スクールで学び、自分で練習する。この習慣を作ることができれば、あなたの上達速度は驚くほど速くなるはずです。

週1回のスクール、それにプラスして週1回の壁打ちや素振り。それだけで、あなたのテニスは確実に変わります。

さあ、今日からスクール外での練習も始めてみませんか? あなたの努力が、必ず結果につながります。テニスは、頑張った分だけ上手くなれる、公平なスポーツなのですから。

コメント

タイトルとURLをコピーしました