試合後の振り返りノート術:上達が加速する書き方完全ガイド

テニス

試合が終わった後、あなたは何をしていますか?

「今日は負けちゃったな…」 「あのミスさえなければ…」

試合が終わると、多くの人は感情のまま終わってしまいます。悔しさや喜びを感じて、それで終わり。もちろん、感情は大切です。でも、それだけでは次の試合で同じミスを繰り返してしまいます。

**試合は、最高の教材です。**そして、その教材を最大限に活かすのが「試合後の振り返りノート」なのです。

「勝って反省、負けて感謝」という言葉

こんな言葉があります。

「勝って反省、負けて感謝」

この言葉は、試合後の向き合い方を端的に表しています。

勝って反省

勝った試合こそ、冷静に振り返る必要があります。勝った喜びに浸るだけでは、成長は止まってしまいます。

「なぜ勝てたのか?」 「偶然ではなく、再現できる勝ちパターンは何か?」 「勝ったけど、課題はなかったか?」

勝利の中にこそ、次の成長のヒントが隠れています。勝った試合を反省する謙虚さが、さらなる高みへと導いてくれるのです。

負けて感謝

負けた試合は、最高の学びの機会です。悔しさや落ち込みは当然ですが、それだけで終わらせてはいけません。

「相手が自分の弱点を教えてくれた」 「この敗北がなければ気づけなかった課題がある」 「負けたからこそ、次に向けて具体的な目標ができた」

負けは、あなたを強くするためのギフトです。相手に、そして敗北という経験に感謝する。その姿勢が、あなたを成長させます。

この言葉が教えてくれること

つまり、勝っても負けても、感情に流されず、冷静に学びを得る姿勢が大切だということです。

そして、その姿勢を具体的な形にするのが、これからお伝えする「試合後の振り返りノート」なのです。

今日は、コーチとして多くの選手を見てきた経験から、上達を加速させる振り返りノートの書き方を、具体的にお伝えします。

試合後ノートで得たい3つのこと

まず、なぜ振り返りノートを書くのか。目的を明確にしましょう。

1. 再現すべき成功パターンの整理

勝った試合も、負けた試合も、必ず「うまくいった場面」があります。それを言語化して記録することで、次の試合でも再現できるようになります。

「なんとなくうまくいった」を「こうしたからうまくいった」に変える。これが上達の第一歩です。

2. 課題を感情抜きで客観視する

試合直後は感情的になりがちです。「もうダメだ」「全然ダメだった」と全否定してしまったり、逆に「運が悪かっただけ」と問題から目を背けたり。

ノートに書くことで、感情と事実を切り離し、冷静に課題を見つめることができます。

3. 次の練習テーマを明確にする

「次は頑張ろう」では何も変わりません。「次は何を、どう練習するか」を明確にすること。これがノートの最大の価値です。

試合という実践から、練習というトレーニングへ。このサイクルを回すことで、上達は加速します。

おすすめの構成:A4 1枚 or スマホメモでもOK

では、具体的にどう書けばいいのか。7つのセクションに分けて解説します。

紙のノートでも、スマホのメモアプリでも、どちらでも大丈夫です。大切なのは「継続すること」。自分が続けやすい方法を選びましょう。

① 試合の基本情報

まず、試合の基本データを記録します。

記録すること

  • 日付
  • 大会名(例:区民大会シングルス、練習試合など)
  • 相手のプレースタイル(例:粘り強いベースライナー、攻撃的なネットプレイヤー)
  • スコア(例:4-6, 6-3, 10-7)
  • 天候・コート・ボール(例:オムニコート・湿気多め・HEADボール)

なぜこれを書くのか

後で複数の試合を比較するための「条件メモ」になります。

勝ち負けだけでなく、環境も書くことで、自分の得意条件・苦手条件が見えてきます

「晴れの日は勝率が高い」 「クレーコートが苦手」 「風が強い日は調子が出ない」

こうしたパターンが見えれば、対策も立てられます。

記入例:

【試合日】2025/10/16
【大会】区民大会シングルス
【相手】スピン系ベースライナー
【スコア】4-6, 6-3, 10-7
【環境】オムニコート・晴れ・風強め

② 試合の流れ(時系列・簡潔に)

次に、試合全体の流れを簡潔に記録します。

書き方のポイント

セットごとに、どんな展開だったかを3〜4行程度で。長く書く必要はありません。「どう戦ったか」を思い出しながら、感情ではなく戦略の記録にします。

記入例

◆試合の流れ
第1セット:序盤リード→中盤から相手のスピンに対応できず押される
第2セット:リターンを浅くして攻撃的に展開、前に出る回数を増やした
ファイナル:焦らずラリーで粘れた、相手のミスを待つ作戦が功を奏した

このセクションの価値

後で読み返したとき、「ああ、あの試合ね」とすぐに思い出せます。そして、どんな戦略転換をしたかが明確になります。

③ 技術面の振り返り

ここが最も重要なセクションです。各ショットについて、良かった点と改善点を記録します。

おすすめフォーマット:表形式

項目良かった点改善点
サーブ1stの確率高く、スライスが効いた2ndが甘くなり攻められた
リターン攻撃的に打てた相手のキックサーブに苦戦
ストローククロスの安定◎ダウンザラインのミス多め
ネットプレー前に出たのは良かったボレーの準備が遅い

ポイント

プレーの**”行動”に注目**すること。結果より「何をしたか」を書くと、次に再現可能になります。

❌ 悪い例:「サーブが全然入らなかった」(感情的、抽象的) ⭕ 良い例:「2ndサーブが甘くなり攻められた」(具体的、行動ベース)

④ メンタル面・判断面

技術だけでなく、メンタルや判断についても振り返ります。

記録すること

  • いつ集中できたか
  • いつ崩れたか
  • どんな判断が良かったか、悪かったか

記入例

◆メンタル面
・序盤は緊張して手が縮んだ
・セットを落としても冷静に修正できた(これは成長!)
・第2セット後半、相手のペースに巻き込まれた場面も

ポイント

「どんな時に集中できたか」「崩れたきっかけ」を把握することで、次の試合でメンタルをコントロールしやすくなります。

以前の記事「自立のスポーツ」でお話ししたように、自分で自分を分析できる力が、テニスでは何より大切です。

⑤ キーポイント(成功・失敗の分岐)

試合全体の中で、流れを変えた1〜2つのポイントを記録します。

記入例

◆キーポイント
・第2セット2-3の40-40でのスマッシュ成功が流れを変えた
・風上でのリターンミスがもったいなかった(あそこで取れていれば...)

なぜ重要か

1〜2個に絞ることで、「次の試合で意識すべき瞬間」が明確になります。

テニスは、数ポイントで試合が決まることがよくあります。その「勝負どころ」を認識できるようになることは、試合巧者への第一歩です。

⑥ 次へのアクションプラン

ノートの最も重要なセクションがここです。「何を」「いつ」「どうやって」練習するかを具体的に書きます。

記入例

◆次へのアクションプラン
1. リターンで構えを早くする練習を重点的に(次回の練習から)
2. 2ndサーブをもっと回転多めに安定化(壁打ちで感覚を掴む)
3. 強風下での試合を意図的に経験しておく(風の日を選んで練習試合)

ポイント

「次の練習で試したいこと」を1つ書くだけでも十分です。完璧を目指さず、実行可能な小さな一歩を設定しましょう。

これが、以前の記事「スクールに通うだけでは上達しない」でお伝えした、自主練習のテーマ設定につながります。

⑦ 一言まとめ(感情OK)

最後に、感情を込めた一言を添えます。

記入例

◆一言まとめ
「風と戦った一戦。次は環境に左右されないプレーを目指す」
「勝ち負けより、集中を途切れさせなかったのが収穫」
「悔しい負けだけど、得るものは多かった。次につなげる!」

なぜ感情を書くのか

最後に感情を「締めくくり」として書くと、読み返した時にモチベーションになります

数ヶ月後に読み返して、「あの時こう感じてたんだな」「今はもっと成長してるな」と実感できる。それが継続の力になるのです。

そのままコピー可!テンプレート

すぐに使えるテンプレートを用意しました。コピーしてご自由にお使いください。

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🎾 試合振り返りノート
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【試合日】 / 
【大会】
【相手】
【スコア】
【環境】(コート・天候・ボール)

◆試合の流れ


◆技術面
項目        | 良かった点  | 改善点
サーブ      |            |
リターン    |            |
ストローク  |            |
ネットプレー|            |

◆メンタル面


◆キーポイント


◆次へのアクションプラン
1. 
2. 
3. 

◆一言まとめ

継続のコツ:完璧を目指さない

ノートを書く上で、最も大切なことをお伝えします。

完璧を目指さないこと。

全部埋めなくても大丈夫です。時間がないときは、「③技術面」と「⑥アクションプラン」だけでもOK。スマホでサッと3分で書くだけでも効果はあります。

大切なのは、継続すること。1回完璧なノートを書くより、10回短いメモを残す方が、はるかに価値があります。

ノートが教えてくれること

振り返りノートを続けると、こんな発見があります。

数ヶ月後に見えるもの

  • 自分の成長:「3ヶ月前は同じミスで悩んでたんだ。今は克服してる!」
  • パターンの発見:「晴れの日は勝率が高い」「疲れてる時はメンタルが弱い」
  • 成功の再現性:「あの時うまくいった戦略、また使えるかも」

ノートは、あなただけの戦術書になります。他の誰でもない、あなた自身のデータベース。それが積み重なったとき、あなたは確実に強くなっています。

まとめ:試合は最高の教材

試合は、お金を払っても得られない貴重な経験です。その経験を、感情だけで流してしまうのはもったいない。

振り返りノートを書くことで、

  • 成功を再現可能にする
  • 課題を客観的に見つめる
  • 次の練習テーマを明確にする

この3つが手に入ります。

以前の記事で「テニスは自立のスポーツ」とお伝えしました。自分で分析し、自分で課題を見つけ、自分で練習する。この主体性こそが、上達への最短ルートです。

試合後ノートは、その主体性を育てる最高のツールなのです。

さあ、次の試合が終わったら、5分だけ時間を取ってください。スマホを開いて、今日の試合を記録する。それだけで、あなたのテニスは確実に変わり始めます。

**試合は終わりではなく、始まりです。**振り返りノートという地図を手に、次の成長へと進んでいきましょう。

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