同じ練習をしても、上達の仕方が違うのはなぜ?
「同じ練習をしているのに、あの人の方が伸びが早い」 「試合になると性格が出る気がする」
テニスコーチやプレイヤーなら、一度は感じたことがあると思います。同じレッスンを受けても、同じアドバイスをもらっても、上達のスピードや試合での戦い方は人それぞれ。
その違い、実は**「性格タイプ」**が深く関係しているのです。
心理学をベースにした「MBTI性格診断」を使えば、あなたがどんなタイプのプレーヤーなのか、どうすれば実力を最大限に発揮できるのかが見えてきます。
今日は、性格とテニススタイルの意外な関係について、詳しく見ていきましょう。
MBTIとは?16タイプでわかる「思考と行動のクセ」
**MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)**は、アメリカの心理学者マイヤーズとブリッグスが開発した、世界中で使われている性格タイプ診断です。
企業の人材育成や、チームビルディング、自己理解のツールとして、幅広く活用されています。
MBTIは、人間の性格を4つの指標 × 2つの傾向で分析し、合計16種類のタイプに分類します。そして驚くべきことに、この性格分類が、テニスのプレースタイルとも深く関係しているのです。
4つの性格軸で「プレースタイル」を読み解く
MBTIは4つの軸で性格を分類します。それぞれをテニスに置き換えて見てみましょう。
| 軸 | 選択肢 | テニスに置き換えると? |
|---|---|---|
| ①エネルギーの向き | E(外向) / I(内向) | 試合でテンションを上げるタイプか、内に集中するタイプか |
| ②情報の受け取り方 | S(感覚) / N(直観) | 目の前のプレーを重視するか、戦略やパターンを読むか |
| ③判断の基準 | T(思考) / F(感情) | ロジカルに戦うか、感覚と気持ちで動くか |
| ④生活・行動の傾向 | J(判断) / P(知覚) | 計画的に試合を組み立てるか、流れに乗って戦うか |
この4つの組み合わせ、例えば「ESTJ」や「INFP」といった形で、あなたの性格タイプが決まり、それがテニススタイルにも現れるのです。
各軸がプレースタイルに与える影響
では、それぞれの軸が、具体的にどうテニスに影響するのか見ていきましょう。
①エネルギーの向き:E(外向)vs I(内向)
E型(外向)は「流れ型プレーヤー」
- 観客や味方の声で勢いづく
- 試合中に声を出してテンションを上げる
- 相手との駆け引きを楽しむ
- チャレンジャーとして輝く
E型の人は、外部からエネルギーを得るタイプ。試合の雰囲気や観客の声援が力になります。ダブルスでペアと声をかけ合うことで、さらに実力を発揮します。
I型(内向)は「集中型プレーヤー」
- 自分のゾーンに入りやすい
- 静かに集中してプレーする
- 内面の感覚を大切にする
- 一人での練習や分析が得意
I型の人は、内側からエネルギーを得るタイプ。周囲の雑音をシャットアウトして、自分だけの世界に入り込むことで最高のパフォーマンスを発揮します。
②情報の受け取り方:S(感覚)vs N(直観)
S型(感覚)は「経験派プレーヤー」
- 実戦感覚でプレーを組み立てる
- 今、目の前で起きていることに集中
- 確実性を重視した堅実なプレー
- 練習で身につけた型を大切にする
S型の人は、五感で得た具体的な情報を重視します。「このボールは速い」「相手は疲れている」といった、今ここにある事実から判断します。
N型(直観)は「戦略家タイプ」
- 展開を読み、パターンを見抜く
- 「次はこう来るだろう」という予測が得意
- 創造的なショットを思いつく
- 大きな戦略を描いて試合を組み立てる
N型の人は、直感とパターン認識を重視します。過去のデータや相手の傾向から、次の展開を予測し、一手先を読むプレーが得意です。
③判断の基準:T(思考)vs F(感情)
T型(思考)は「戦術家プレーヤー」
- データや理論を重視
- 論理的に相手の弱点を突く
- 感情に左右されにくい
- 客観的な分析が得意
T型の人は、論理と効率を重視します。「この状況では統計的にクロスが有効」といった、合理的な判断でプレーします。
F型(感情)は「フィーリングプレーヤー」
- 流れと感情を味方につける
- その瞬間の「感じ」で判断する
- 相手の気持ちを読み取る
- 雰囲気やモチベーションが重要
F型の人は、感情や価値観を重視します。「今、攻めたい気持ちが強い」「相手が焦っている雰囲気を感じる」といった、感覚的な情報から判断します。
④生活・行動の傾向:J(判断)vs P(知覚)
J型(判断)は「マネジメント型プレーヤー」
- 試合計画を重視する
- きっちりとした準備とルーティン
- 計画通りに進めることで安心する
- 予定調和を好む
J型の人は、計画性と秩序を重視します。試合前のウォーミングアップから試合展開まで、しっかりとしたプランを立てて臨みます。
P型(知覚)は「アドリブ型プレーヤー」
- 瞬間的な対応力が武器
- 状況に応じて柔軟に戦略を変える
- 即興的なプレーが得意
- 予測不可能な展開を楽しむ
P型の人は、柔軟性と適応力を重視します。計画より、その場の状況に応じた臨機応変な対応が得意です。
性格タイプ別:おすすめの練習法と戦略
自分の性格タイプが分かったら、それに合わせた練習法や戦略を取り入れましょう。
E型の人へ
- 練習でも試合形式を多く取り入れる
- 仲間と声をかけ合いながら練習
- 試合では積極的に声を出してリズムを作る
I型の人へ
- 一人での壁打ちや素振りを大切に
- 試合前は静かに集中できる環境を作る
- 自分のルーティンを確立する
S型の人へ
- 反復練習でパターンを体に染み込ませる
- 実戦的な球出し練習を重視
- 確実性の高いショットを磨く
N型の人へ
- 戦術やパターンを学ぶ時間を作る
- プロの試合を分析的に観る
- 新しい戦略を試す機会を作る
T型の人へ
- データや統計を活用して練習計画を立てる
- 論理的に弱点を分析する
- 感情よりも戦術に集中する
F型の人へ
- モチベーションを高める環境作り
- 好きな音楽を聴いて気分を上げる
- 仲間との絆を大切にする
J型の人へ
- しっかりとした練習計画を立てる
- 試合前の準備リストを作る
- ルーティンを大切にする
P型の人へ
- 様々な状況を想定した練習
- 即興的な判断を鍛えるドリル
- 柔軟に戦略を変える練習
テニスにMBTIを取り入れるメリット
MBTIを理解すると、こんなメリットがあります。
🎯 自分の得意パターンが明確になる
「自分は粘り型なのか、速攻型なのか」 「試合で燃えるタイプか、静かに集中するタイプか」
これが分かるだけで、練習効率もメンタルコントロールも格段に上がります。自分に合ったスタイルを確立できるのです。
🧠 苦手な状況の「理由」が分かる
「なんでプレッシャーで崩れるんだろう?」
それは性格上、「即興対応」が苦手なJ型タイプかもしれません。理由が分かれば、対策も立てられます。J型なら、事前のイメージトレーニングを充実させる、という具合です。
🤝 ダブルス・チーム戦の相性も分かる
MBTIは相性診断にも使えるため、「合うペア」「ぶつかりやすいペア」が明確になります。
- E型×I型:補完関係で良いペアになることも
- S型×N型:現実派と戦略家のバランス
- T型×F型:論理と感情のバランス
- J型×P型:計画性と柔軟性の組み合わせ
チーム作りやペア選びにも応用できるのがポイントです。
性格は変えられないが、活かすことはできる
ここで大切なことをお伝えします。
性格を無理に変える必要はありません。むしろ、自分の性格を理解し、それを最大限に活かすことが重要なのです。
I型の人が無理にE型のように振る舞っても、エネルギーを消耗するだけです。それより、I型の強みである「深い集中力」を活かす方が、はるかに効果的です。
性格=プレースタイルの設計図。あなたらしいテニスを見つけることが、最高のパフォーマンスにつながるのです。
まとめ:MBTIは上達を早めるツール
MBTIは単なる心理テストではありません。自分を理解して上達を早めるためのツールです。
あなたのプレーの中に、すでに性格のヒントが隠れています。
- 試合でどう振る舞うか
- どんな状況で力を発揮するか
- どんな練習が合っているか
- どんな相手と相性が良いか
これらすべてに、性格が関係しています。
まずは自分のMBTIタイプを知ることから始めてみませんか?ネット上には無料の診断テストがたくさんあります。自分のタイプを知り、それに合わせた練習法や戦略を取り入れる。
それだけで、あなたのテニスは驚くほど変わるかもしれません。性格を理解することで、もっと自分らしく、もっと効率的に、テニスを楽しめるはずです。
さあ、あなたはどのタイプのプレーヤーでしょうか? 自分を知ることが、上達への新しい扉を開いてくれるはずです。


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