自分の試合を観る力:客観視が上達を早める

テニス

「自分の試合動画、見たくない」

「自分の試合、撮影してもらったんだけど…まだ見てないんだよね」

こんな経験、ありませんか?

実は、自分の試合動画を見るのが一番難しいのです。

なぜなら、そこには感情が絡むから。

  • 「ミスした場面を見たくない」
  • 「下手なフォームを見るのが恥ずかしい」
  • 「負けた試合を思い出したくない」

でも、そこにこそ、上達のヒントが詰まっています。

今回は、「自分のプレーを観る力」を鍛える方法を解説します。

勝ち負けではなく、「何をどう考えていたか」を映像から読み取ることで、上達スピードは劇的に変わります。

第14話「試合後の振り返りノート術」で学んだ振り返りの技術を、さらに深めていきましょう。

なぜ自分の試合を観るのが一番難しいのか

自意識と感情が混ざるため冷静に見られない

他人の試合は、冷静に観られます。

「あ、今のバックハンド、ミスしたね」
「このタイミングでドロップショット打つのは面白いね」

でも、自分の試合となると、話は別です。

感情が邪魔をします。

  • 「うわ、このミス、覚えてる。あの時、焦ってたんだよな…」
  • 「このフォーム、なんでこんなに変なの?恥ずかしい…」
  • 「この試合、負けたんだよな。もう見たくない…」

感情が先に来ると、客観的な分析ができません。

客観視=「感情を抜いて、判断だけを見る」練習

自分の試合を観る目的は、「感情を抜いて、判断だけを見る」ことです。

ミスしたことを責めるのではなく、「なぜそのショットを選んだのか」を理解することです。

これは、練習です。

最初は難しいです。でも、続けると、だんだん冷静に見られるようになります。

そして、自分のテニスを客観的に理解できるようになります。

第11話「自立のスポーツ」で学んだように、自分で自分を分析できることが、上達の鍵です。

観戦時に注目すべき3つの軸

自分の試合を観る時、何に注目すればいいのでしょうか?

3つの軸があります。

① 技術:ショットの質よりも「選択の意図」

多くの人は、技術を見る時、こう考えます。

「フォアハンド、ミスしてるな。もっと練習しないと」

でも、それだけでは不十分です。

なぜそのショットを選んだのか?

これが重要です。

具体例:ドロップショットのミス

映像を観る

  • 相手が深いボールを打った
  • 自分がベースライン後方にいる
  • そこから、ドロップショットを打った
  • ミスした

感情的な見方
「ドロップショット、ミスしてる。下手だな…」

客観的な見方
「なぜ、この状況でドロップショットを選んだのか?」

  • 相手が後ろにいたから、前に落とそうと思った?
  • それとも、ただ何となく打った?
  • この状況で、ドロップショットは正しい選択だったか?

分析結果
「この状況では、まず深いボールで相手を押し込むべきだった。ドロップショットは、自分が前にいる時に打つべきショット。選択ミスだった」

このように、技術のミスではなく、選択のミスだと分かります。

そうすると、練習すべきは「ドロップショットの技術」ではなく、「ショット選択の判断力」だと分かります。

第28話「中上級者のシングルス戦術」で学んだように、上級者は「何を打つか」の選択が優れているのです。

② 判断:打つ前に何を考えていたか

映像を観る時、ボールを打つ前の自分に注目してください。

  • どこを見ているか
  • どのタイミングで動き出しているか
  • 相手のどこを見ているか

具体例:オープンスペースへの配球ミス

映像を観る

  • 相手がコートの右側にいる
  • 左側が空いている
  • でも、自分は右側(相手がいる方)に打った
  • 相手に簡単に返された

感情的な見方
「なんで左に打たなかったんだろう。バカだな…」

客観的な見方
「打つ前、相手のポジションを見ていたか?」

  • 映像を確認すると、打つ前に相手を見ていない
  • ボールだけを見て、打っていた
  • だから、相手の位置が分からなかった

分析結果
「打つ前に、相手の位置を確認する習慣がない。これが問題」

このように、判断のプロセスが見えてきます。

練習すべきは、「左に打つ技術」ではなく、「打つ前に相手を見る習慣」だと分かります。

第9話「視る力」で学んだように、視野の使い方が、判断の質を決めます。

③ 感情:ポイント間での表情・呼吸・仕草

試合中の感情は、プレーに大きく影響します。

映像を観る時、ポイント間の自分に注目してください。

  • 表情はどうか(険しい顔?リラックスしている?)
  • 呼吸はどうか(浅い?深い?)
  • 仕草はどうか(ラケットを叩く?首を振る?ガッツポーズ?)

具体例:連続ミスの原因

映像を観る

  • 1ポイント目、ミスした
  • ポイント間、険しい表情で、首を振っている
  • 2ポイント目も、すぐにミス
  • ポイント間、さらに険しい表情
  • 3ポイント目も、ミス

感情的な見方
「連続でミスしてる。調子が悪かったんだな…」

客観的な見方
「1ポイント目のミスから、感情が崩れている」

  • ポイント間、呼吸が浅く、早い
  • 表情が険しく、体が力んでいる
  • その状態で次のポイントを始めている
  • だから、2ポイント目もミスした

分析結果
「ミスを引きずる癖がある。ポイント間でリセットする習慣が必要」

このように、感情のパターンが見えてきます。

練習すべきは、「技術」ではなく、「感情のコントロール」だと分かります。

第17話「タイプ別メンタル傾向と立て直し方」で学んだように、メンタルの立て直し方は、人それぞれです。自分のパターンを知ることが重要です。

観戦ノートの書き方例

自分の試合を観たら、ノートに記録しましょう。

でも、何を書けばいいのでしょうか?

「うまくいった理由」「崩れたきっかけ」を1試合3つずつ

記録するのは、以下の2つです。

① うまくいった理由(3つ)

  • 「なぜ、このポイントを取れたのか?」
  • 技術、判断、感情の3つの軸で考える

② 崩れたきっかけ(3つ)

  • 「なぜ、このポイントを失ったのか?」
  • 技術、判断、感情の3つの軸で考える

記録例

うまくいった理由

  1. 深いクロスラリーで相手を後ろに押し込み、ドロップショットで決めた
  • 判断:相手が後ろに下がったのを見て、ドロップショットを選択
  • 技術:ドロップショットが低く、2バウンドまでが早かった
  • 感情:落ち着いていて、焦らずに打てた
  1. サーブで相手のバックを狙い、3球目でオープンスペースに打ち込んだ
  • 判断:相手のバックが弱いと分析していた
  • 技術:サーブが深く、リターンが甘くなった
  • 感情:計画通りに進んで、自信があった
  1. 粘り強く返球し続けて、相手がミスした
  • 判断:相手が焦っていると感じた。だから、無理に攻めなかった
  • 技術:深いクロスラリーが安定していた
  • 感情:落ち着いて、相手のミスを待つ余裕があった

崩れたきっかけ

  1. 浅いボールをミスして、そこから連続ミス
  • 判断:チャンスボールだったが、無理に強打しようとした
  • 技術:体勢が整っていないのに、強打した
  • 感情:ミスした後、焦って次も急いだ
  1. 相手のドロップショットに追いついたが、ミス
  • 判断:追いつくことだけに集中して、どこに返すか考えていなかった
  • 技術:走りながら打ったので、コントロールが甘かった
  • 感情:「追いつけた!」と安心して、次の判断が遅れた
  1. 相手のサーブが速くて、リターンミス連発
  • 判断:相手のサーブの速さに対応できていなかった
  • 技術:リターンの準備が遅かった(テイクバックが大きすぎた)
  • 感情:「速い!」とビビって、体が固まった

“良かった場面”をあえてピックアップして再現性を高める

多くの人は、ミスばかりに注目します。

「ここでミスした。ここもミスした。ダメだな…」

でも、それだけでは、自信を失います。

良かった場面も、必ず記録してください。

なぜなら、良かった場面を再現することが、上達の近道だからです。

具体例:会心のウィナー

映像を観る

  • 相手のボールが浅く来た
  • 自分が前に出て、アプローチショット
  • ネットに詰める
  • 相手のパスが来る
  • ボレーで決める

記録する
「なぜ、このポイントが決まったのか?」

  • 判断:浅いボールを見て、すぐに前に出る判断ができた
  • 技術:アプローチショットが深く、相手を後ろに押し込んだ
  • 感情:「今だ!」という決断力があった

次の練習で再現する
「この判断と技術を、次の試合でも再現しよう」

  • 練習で、アプローチショットからボレーの練習を増やす
  • 浅いボールを見たら、すぐに前に出る習慣をつける

このように、良かった場面を分析し、再現することが、上達につながります。

第6話「試合で勝つ3つの条件」で学んだように、勝つためには「良い判断」を再現することが重要です。

セルフ観戦の習慣をつくるコツ

自分の試合を観る習慣をつけるには、いくつかのコツがあります。

コツ①:動画を翌日以降に見る(感情を冷ます)

試合直後は、感情が高ぶっています。

勝った場合:「やった!最高!」
負けた場合:「くそ…悔しい…」

この状態で動画を見ても、冷静に分析できません。

翌日、または数日後に見ましょう。

感情が落ち着いた状態で見ると、客観的に分析できます。

コツ②:自分を”他人の選手”として解説するつもりで見る

自分の試合を見る時、こう考えましょう。

「これは、他人の試合だ」

自分ではなく、他人の選手として見るのです。

そして、解説者になったつもりで、こう話してみましょう。

「この選手、今、相手を見ていないですね。だから、オープンスペースに気づいていない」
「この選手、ミスした後、呼吸が浅くなっています。感情のコントロールが課題ですね」

このように、第三者の視点で見ると、冷静に分析できます。

第29話「MBTI×シングルス戦略」で学んだように、自分の性格タイプを理解することも、この客観視に役立ちます。

コツ③:最初は「5分だけ」見る

「1時間の試合動画、全部見るのは大変…」

そう感じる人は、最初は5分だけ見ましょう。

  • 第1ゲームだけ
  • 良かったポイント3つだけ
  • 崩れた場面3つだけ

短い時間でも、十分に学べます。

継続することが、一番重要です。

毎試合、5分だけでも見る習慣をつけましょう。

コツ④:記録は「3つだけ」にする

「たくさん書かなきゃ…」と思うと、続きません。

記録するのは、3つだけでいいです。

  • 良かった場面:3つ
  • 崩れた場面:3つ

合計6つだけ。これで十分です。

第14話「試合後の振り返りノート術」で学んだように、シンプルな記録が、継続の鍵です。

コツ⑤:友人と一緒に見る

一人で見るのが辛い場合は、友人と一緒に見るのもおすすめです。

友人に解説してもらうと、客観的な意見が聞けます。

「あ、今のショット選択、良かったね」
「この場面、ちょっと焦ってるように見えるよ」

他人の視点は、自分では気づかないことを教えてくれます。

自分の試合を観る習慣が、上達を加速させる

自分の試合を観るのは、最初は辛いです。

でも、これが上達の最短ルートです。

なぜなら、自分の試合には、自分の癖、判断のパターン、感情のパターンが、すべて詰まっているからです。

それを客観的に見ることができれば、何を練習すべきかが明確になります。

  • 技術の問題なのか
  • 判断の問題なのか
  • 感情の問題なのか

これが分かれば、練習の質が変わります。

そして、上達が加速します。

最初は5分だけでいい。今週末の試合を、撮影してもらいましょう。

そして、翌日、5分だけ見てみましょう。

「あ、自分ってこんな感じなんだ」

この気づきが、上達の第一歩です。

次回は、「友人・チームメイトの試合を観る力」について解説します。

他人の試合から学ぶことで、自分のテニスの幅が広がります。お楽しみに!

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